AIは沈黙や言いよどみから何を学ぶのか|音声にならない会話情報のデータ化

「ええと」「その……」「うーん」。書き起こしでは削除されがちな表現ですが、会話では重要な働きをします。考えている、言いにくい、発話を続けたい、相手へ順番を渡したいといった状態が表れるからです。

AIとの自然な音声対話を考えるなら、言葉の内容だけでなく、発話の始まりと終わり、沈黙、重なり、相づちをデータとして残す必要があります。

沈黙には複数の意味がある

  • 答えを考えている
  • 言いにくい内容を避けている
  • 相手の発話終了を待っている
  • 会話を終えたい
  • 通信や聞き取りに問題がある

無音区間の長さだけでは、どの意味か判断できません。直前の質問、視線、相手の反応、会話の目的などが必要です。

言いよどみは削除せず種類を分ける

音声認識用の整文では「あの」「えっと」を除くことがあります。しかし、会話研究では、フィラー、語の引き延ばし、言い直し、途中で止めた語、繰り返しを分けて記録します。

「東京、ではなく大阪です」という自己修正を、完成後の「大阪です」だけにすると、AIは人が誤りを修復する過程を学べません。

発話交替には相づちのタイミングが必要

MM-F2Fは、対面会話を大量に収録し、話者交替やバックチャネルを扱うマルチモーダルデータセットです。「うん」「なるほど」の内容だけでなく、いつ発せられたかが対話システムにとって重要です。

ミリ秒単位の時間情報を残す

沈黙や重なりを研究するデータでは、文章だけのCSVでは不十分です。音声上の開始・終了時刻、話者、発話内容、非言語イベントを対応させます。ELANのようなツールでは、発話、フィラー、笑い、相づちなどを別の層で管理できます。

自動検出と人手確認を組み合わせる

音声区間検出で候補を作り、話者分離や音声認識を行った後、人が話者の重なり、短い相づち、誤認識を修正する方法があります。短い「うん」は雑音と誤判定されやすく、人手確認の対象になりやすい部分です。

沈黙を性格や感情へ直結させない

沈黙の長さは、言語、文化、個人差、通信遅延、質問の難しさによって変わります。「長い沈黙は不満」と一律に決めるのではなく、場面と参加者情報を含めて分析する必要があります。

SPOKEN DIALOGUE DATA

沈黙や発話交替を含む音声データを制作します

対話収録、話者別音声、時間情報付き書き起こし、フィラー・重なり・相づちのELANアノテーションに対応します。

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