会話から「なぜそう言ったか」を推論するCICERO

「マクドナルドへ行きたい」という発言だけを見ても、その理由は分かりません。しかし前の会話に、同じ料理が続いて飽きたという話があれば、発言の動機を推測できます。

CICEROは、発言単体ではなく会話全体を読み、背景にある原因や動機を記録した英語データセットです。

本記事は公開論文と公開データセットの紹介です。株式会社イングクラウドが当該研究へ関与したことを示すものではありません。

今回取り上げる論文

CICERO: A Dataset for Contextualized Commonsense Inference in Dialoguesは2022年のACLで発表されました。5,672件の二者対話に53,105件の推論が付けられています。

五つの問いを発話へ結び付ける

  • その発言の原因は何か
  • その後に何が起こるか
  • 事前に何が必要だったか
  • 話者の動機は何か
  • 聞き手はどう感じるか

作業者は対話と対象発話を読み、質問に対する簡潔な一文を作ります。答えが会話に含まれる場合は内容を整え、含まれない場合は常識的にあり得る状況を推測します。

推測と矛盾を区別する

もっともらしい推論を作るだけでは、会話に反する回答が混ざります。CICEROでは、文脈に合う回答、常識的にはあり得る推測、文脈と矛盾する候補を区別して扱います。

生成データの品質確認では、文法だけでなく、前の発言と両立するかを確認しなければなりません。

日本語で作る場合の論点

日本語の会話では、主語や目的語の省略、遠回しな依頼、敬語、相づちによって意図が示されます。対象発話だけを切り出さず、必要な範囲の前後文脈と話者情報を残す必要があります。

データ制作の実務で参考になる点

同じ対話から複数種類の推論を作ることで、一度収集した素材を多面的な学習データへ変えています。ただし、事実の抽出と人による推測を同じラベルとして混ぜず、回答の根拠を区別する設計が必要です。

RESEARCH DATASET NOTE

対話データの収集・推論アノテーションをご相談いただけます

対話収録、対象発話の選定、原因・動機・感情のアノテーション、複数人評価まで対応します。

学術研究・実証実験支援について相談する