「少し短くしてください」と言われたとき、1割削るのか、半分にするのかは分かりません。「いい感じに整えて」は、何を良いとするかさえ共有されていない指示です。
このような程度表現は、単に曖昧な言葉を禁止すれば解決するとは限りません。人間同士の業務では、過去の成果物や共通経験を前提に効率よく使われています。
本記事は、日本語の程度表現をAI学習・評価データへ変える際の設計を整理するものです。表現の意味を一律の数値へ固定するものではありません。
同じ「少し」でも対象によって幅が違う
「音量を少し下げる」「文章を少し短くする」「価格を少し下げる」では、許容される変化量が異なります。対象、現在値、目的、利用者の過去の選択によって意味が決まります。
データを作るときは、曖昧語だけを切り出さず、元の状態、指示、変更後の候補を一組にします。
曖昧さを三種類に分ける
| 種類 | 例 | 明確化の方法 |
|---|---|---|
| 量・範囲 | 少し短く | 文字数や割合を確認 |
| 品質・印象 | いい感じに | 見本や比較候補を提示 |
| 裁量の委任 | 適当に処理して | 守る条件と任せる範囲を確認 |
「適当に」は雑に行う意味の場合も、担当者の判断へ任せる意味の場合もあります。語だけでラベルを決めず、話者の意図を確認します。
数値で聞くより、候補を見せた方が答えやすいことがある
利用者自身も「何文字にすればよいか」を決めていない場合があります。そのとき「何文字ですか」と聞いても明確化できません。
短縮率の異なる複数案、デザインの見本、品質と費用の組み合わせを提示し、どれが意図に近いかを選んでもらう方法があります。確認質問データには、自由回答だけでなく比較選択も含められます。
本人の意図と第三者の評価を分ける
作成者が「いい感じにできた」と思っても、依頼者はそう感じない可能性があります。成果物の評価では、指示を出した本人の満足度と、第三者が仕様に合っていると判断したかを別に記録します。
過去の修正履歴が個人の基準になる
同じ利用者が「もっと短く」「これは短すぎる」と修正した履歴があれば、その人にとっての許容範囲を推定できます。ただし、別の案件や別の用途へそのまま適用できるとは限りません。
履歴を使う場合は、利用目的、成果物の種類、適用期間を残し、今回も同じ基準でよいか確認できる設計にします。
RESEARCH DATASET NOTE
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