年代によって異なる日本語音声をどう集めるか――高齢者100人の音声コーパス

「高齢者の音声」と一括りにしても、65歳と90歳では、声の特徴、発話速度、生活経験、使う言葉が異なります。若い成人中心の音声データで高い精度を出すAIが、介護施設の利用者にも同じように動くとは限りません。

本記事は公開論文の紹介です。株式会社イングクラウドが当該研究へ関与したことを示すものではありません。

今回取り上げる論文

Speech Corpus Spoken by Young-old, Old-old and Oldest-old Japaneseは、2016年のLRECで発表されました。

平均年齢77.2歳の100人を収録した

研究では、高齢者100人の日本語音声を収録しています。多くは介護施設の居住者で、平均年齢は77.2歳でした。従来の高齢者音声コーパスS-JNASは平均年齢67.6歳であり、介護現場で想定する年代との隔たりが課題でした。

既存データの「高齢者」が対象と合うとは限らない

年代ラベルがあっても、実際の利用者群と年齢分布が違えば、評価結果をそのまま適用できません。対象サービスが後期高齢者向けなら、その年代を十分に含むデータが必要です。

年代差と個人差を混同しない

声には、年齢だけでなく、性別、健康状態、地域、収録環境、義歯、発話経験なども影響します。年代別の人数を確保し、個別の事情を必要な範囲でメタデータ化します。

読み上げと自然発話は役割が違う

共通文章の読み上げは年代間比較に向きますが、対話システムで使われる質問や言い直しは十分に現れません。自由会話、質問応答、実際の機器操作を組み合わせると用途に近づきます。

収録運営で必要な配慮

  • 説明文を読みやすくし、口頭でも説明する
  • 長時間収録を分割し、休憩を設ける
  • 施設、本人、必要に応じて家族との手続きを整理する
  • 聴力や発話の状態を参加条件と排除条件へ反映する
  • 声から個人を識別できることを同意文書へ記載する

データ制作の実務で参考になる点

既存コーパスの属性名ではなく、研究対象者の実態まで確認して不足群を追加収録した例です。年代別データでは、総人数より各年代に何人いるかが重要になります。

RESEARCH DATASET NOTE

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