日本語の文書画像・OCRデータセット一覧|レシート・帳票・レイアウト解析

日本語の文書画像を扱うデータセットを探してみると、近代資料や古典籍のOCRデータは比較的充実している一方、レシートや業務帳票の公開データは多くありません。文書画像、正解テキスト、文字や項目の位置、文書の構造まで揃っているかも、データセットによって大きく異なります。

そこで、レシート・帳票のOCR、項目抽出、文書レイアウト解析、文書質問応答など、日本語の文書画像を読む研究で利用できるデータセットをまとめました。日本語データだけでは比較対象が限られる分野については、研究で参照される海外のデータセットも分けて掲載しています。

2026年9月13日確認
配布状況や利用条件は変わることがあります。実際に利用するときはリンク先の最新情報を確認してください。

日本語のレシート・帳票・フォームデータ

レシートや帳票では、文字を読むだけでなく、店舗名、日付、商品名、金額などの項目を見分け、互いの関係を捉える必要があります。日本語を含む公開データは、現時点では小規模なものが中心です。

データセット 内容・規模 含まれる情報 配布形式・利用準備 利用条件
Japan OCR Mini Benchmark 日本のレシートを模した合成画像。公開Alpha版は10件 画像、商品明細、税、合計、支払方法等のJSON Hugging Faceから画像・JSON・メタデータを取得。小規模なので内容を確認しやすい 公開Alpha部分はCC BY 4.0
XFUND 日本語版 人手でラベルを付けた日本語フォーム。学習・評価データを収録 文字領域、header・question・answer等の分類、項目間の関係 GitHub Releasesから画像・JSONを取得。独自スキーマの読み込みが必要 CC BY-NC-SA 4.0、非商用
OmniDocBench-JASyn 14種類の合成日本語文書、518画像 本文、表、図、数式等の領域、正解文字、表構造、読み順 Hugging FaceからPNG・JSONを取得。OmniDocBenchの評価コードを利用可能 CC BY 4.0。ただしAI生成物を含み、モデル学習への利用制限あり
Japanese Documents Dataset(PDF) 教材、論文、ニュース、公的文書等の日本語PDF、63件 PDF文書。正解OCRや領域ラベルは付属しない Hugging FaceからPDFを取得。学習・評価には正解データを別途作る必要がある CC BY 4.0。収録PDFごとの条件も確認が必要

日本語文書のOCR・レイアウト解析データ

日本語OCRの公開データは、国立国会図書館のデジタル化資料や歴史的文書を基にしたものが多く、縦書き、旧字体、図版、表、ルビなどを扱える点に特徴があります。

データセット 内容・規模 含まれる情報 配布形式・利用準備 利用条件
国立国会図書館 パブリックドメインOCR学習用データ Part 1 明治期以降のデジタル化資料、2,713画像 画像、文字列、四角形座標、縦・横書き、読み飛ばし領域 数GBのZIPを取得。JSONまたはPascal VOC形式を学習環境に合わせて変換する パブリックドメイン。自由な二次利用が可能
国立国会図書館 パブリックドメインOCR学習用データ Part 2 著作権保護期間を満了した資料、3,997画像 行・文字座標、本文、表、図版、ルビ、数式等を含むNDLOCR XML 約4.8GBのZIPを取得。独自のNDLOCR XMLを解析・変換する必要がある パブリックドメイン。自由な二次利用が可能
NDL-DocL 国立国会図書館のデジタル化資料から作られたレイアウトデータ 本文、図、表などの文書領域 GitHubから取得。画像とレイアウトアノテーションの対応付けを確認する 配布ページの条件を確認
HJDataset 複雑なレイアウトを持つ歴史的日本語文書、25万件超の領域ラベル 7種類の領域、矩形、マスク、階層構造、読み順 アノテーションは直接取得できるが、画像はフォームから申請して対応付ける アノテーションはApache License 2.0。画像は申請が必要
国立国会図書館 OCR学習用データセット(みんなで翻刻) 古典籍画像と翻刻テキストを対応付けた学習データ 行画像、翻刻、位置情報 大容量ZIPを取得。古典籍の文字体系と独自のデータ構成を確認する必要がある 配布ページの条件を確認
日本古典籍くずし字データセット・Kuzushiji Dataset 古典籍から切り出したくずし字画像。KMNIST、K49、Kkanji等 一文字画像、文字ラベル NumPy形式等で取得可能。文書OCRに使う場合は行・ページ画像を別途用意する CC BY-SA 4.0
ETL文字データベース 手書き・印刷された漢字、ひらがな、カタカナ、英数字等 一文字画像、文字コード、筆者情報等 独自バイナリ形式。公式PythonスクリプトでPNGとCSVへ変換できるが、ETL1〜9で形式・文字コードが異なる 無償。利用条件への同意が必要で、データの再配布は禁止
MangaOCR Dataset 日本語漫画から得た文字列画像 切り出し画像、正解テキスト Hugging Faceから取得。漫画ページ全体ではなく文字列認識用の切り出し画像 研究用途。詳細条件は配布元で確認

日本語の文書質問応答・VLM評価データ

最近は、文書内の文字を正しく読むだけでなく、表や図を含むページを理解して質問に答えられるかを評価するデータも公開されています。

データセット 内容・規模 含まれる情報 配布形式・利用準備 利用条件
JDocQA 日本語PDF 5,504文書、質問回答11,600件 質問、回答、参照ページ、根拠領域の座標、回答不能問題 GitHubからアノテーションを取得。元PDFとの対応付けと利用条件の確認が必要 アノテーションはCC BY-SA 4.0。元文書の条件も確認
OmniDocBench-JASyn 日本語文書解析モデルを一連の処理で評価する518画像 OCR、レイアウト、表、数式、読み順の正解 Hugging Faceから画像・JSONを取得。公開評価コードへパスを設定して実行できる CC BY 4.0。モデル学習への利用制限あり
llm-jp-eval-mm JDocQAなどを用いる日本語マルチモーダルモデル評価環境 評価コードとタスク定義 GitHubから評価環境を構築し、対象データとモデルを別途配置する 収録タスクごとの条件を確認

海外のレシート・帳票データセット

日本語ではなくても、レシートや請求書にどの項目を付け、どの形式で公開するかを考える際に参考になります。日本の消費税表記、商品名、店舗情報などは異なるため、そのまま日本語レシート用の学習データになるわけではありません。

データセット 対象・規模 含まれる情報 配布形式・利用準備 利用条件
CORD インドネシアのレシート。公開版1,000画像 文字と領域、商品名・数量・単価・税・合計等の詳細ラベル、行グループ Hugging Faceから画像・JSONを取得でき、学習・評価用に分割済み CC BY 4.0
SROIE マレーシアの英語レシート987画像 全文の文字領域と転記、会社名・日付・住所・合計 配布サイトへの登録が必要。画像・テキスト・座標・主要項目を取得 CC BY 4.0
FUNSD ノイズを含む英語フォーム199文書 文字、矩形、質問・回答等の意味ラベル、項目間リンク ZIPで画像・JSONを取得。項目間リンクを含む独自JSONの読み込みが必要 配布ページの条件を確認
DocILE 請求書・発注書等の業務文書 主要項目、明細行、文字領域 利用登録・規約同意後に取得。公式ツールでデータを読み込める 研究目的。利用規約への同意が必要
DeepForm 米国の政治広告文書 OCR、項目と値、文書からの情報抽出 DUE Benchmarkの一部として取得し、共通形式へ変換して利用する 配布ページの条件を確認
Kleister Charity 英国の慈善団体報告書 長い文書からの名称、住所、日付、収益等の抽出 GitHubから取得。OCR済みテキストと正解項目を対応付けて利用する CC BY-SA 4.0
TableBank Word・LaTeX文書から作られた表画像 表領域、表構造 大容量データを取得。検出用と構造認識用で構成が分かれている Apache License 2.0
FinTabNet 企業の年次報告書に含まれる表 表構造、セル、HTML表現 JSON・画像を取得。PDF由来の表とセル構造を用途に合わせて整形する CDLA-Permissive 1.0

海外の文書レイアウト・文書質問応答データセット

データセット 対象・規模 主な用途 配布形式・利用準備 利用条件
PubLayNet 科学論文約36万ページ 本文、見出し、図、表、リストのレイアウト検出 COCO形式。データ容量が大きく、画像とアノテーションの配置が必要 CDLA-Permissive 1.0
DocBank 学術文書50万ページ 文書要素の分類、レイアウト解析 大容量の画像・トークン・レイアウトラベルを取得して前処理する Apache License 2.0
DocVQA 文書画像約1.2万枚、質問約5万件 文書画像に対する質問応答 チャレンジサイトへの登録後、画像と質問回答JSONを取得する 登録して入手。元文書を含む利用条件を確認
InfographicVQA インフォグラフィック画像と質問回答 文字、図、グラフを横断した質問応答 チャレンジサイトへの登録後、画像と質問回答を取得する 登録して入手。利用条件を確認
RVL-CDIP 16種類、40万枚の業務文書画像 請求書、メール、フォーム等の文書分類 約40万画像の大容量データ。クラス別リストに沿って配置・読み込みを行う 研究用途。元コレクションの条件を確認

日本語の実務文書データはまだ少ない

一覧にしてみると、日本語OCRのデータは古い書籍や古典籍、文字単位の認識では蓄積があります。一方、日常の業務で扱うレシート、領収書、請求書、申込書などについて、実際の画像と正解テキスト、位置座標、項目ラベルまで揃った公開データは限られていました。

特に日本のレシートには、内税・外税・軽減税率、値引き、ポイント、複数の決済方法、店舗ごとに異なる略称などがあります。海外のレシートデータはラベル設計の参考になりますが、日本語や日本の商習慣をそのまま補えるものではありません。

公開データで足りない場合は新しく作る

研究対象に合う公開データがなければ、画像の収集から、文字起こし、バウンディングボックス、店舗名・日付・商品名・金額などの項目ラベルまで、新たに作る必要があります。最終的にOCRだけを評価するのか、明細の構造や項目間の関係まで評価するのかによって、必要なアノテーションも変わります。

株式会社イングクラウドでは、全国の参加者からの画像収集、個人情報の確認・マスキング、OCR結果の人手修正、文書画像へのアノテーションなどに対応しています。研究に必要なデータの集め方や作業仕様が固まっていない段階でも、研究支援サービスからご相談いただけます。

日本語レシートOCRのサンプルデータを準備しています

株式会社イングクラウドでも、日本国内のレシート画像に文字起こしと項目ラベルを付けたサンプルデータを準備しています。公開後は、画像だけでなく、どの項目をどの形式でアノテーションしたかまで確認できる形で案内する予定です。