発話が「悲しみ」だと分類できても、なぜ悲しいのかが分かるとは限りません。原因は同じ発話に書かれていることもあれば、何ターンも前の出来事にあることもあります。
RECCONは、会話中の感情に対して、その原因になった発話と具体的な文字列を記録したデータセットです。
感情の原因は、発話者本人が説明した事実ではなく、会話を読んだ評価者による推定を含みます。記録された原因が本人の内面を完全に表すとは限りません。
今回取り上げる論文
Recognizing Emotion Cause in Conversationsは、会話中の感情原因を認識する課題とRECCONを提案した論文です。
二種類の会話データから作られた
RECCONは、日常会話を収録したDailyDialogと、演技を含む二者対話のIEMOCAPをもとに作られています。合計1,122対話、11,769発話が含まれ、そのうち6,355発話に感情原因が注釈されました。
日常的で比較的短い会話と、長く感情変化の多い会話を組み合わせています。
原因になった発話だけでなく文字列を囲む
評価者は、感情を持つ対象発話を確認し、その原因を十分に表す文字列を会話から抽出しました。例えば「本当にうれしい」という発話に対し、前の発話にある「試験に合格した」という部分を原因として対応させます。
最終的に11,069件の発話・原因スパン対が作られています。
原因は直前にあるとは限らない
RECCONでは、原因が対象発話と同じ発話にある場合、過去の発話にある場合、その両方にある場合を扱っています。一つの感情に複数の原因が付く例もあります。
感情原因の約15%では、原因が3ターン以上前にありました。対象発話の直前だけを見る設計では見落とす可能性があります。
二人で注釈し、不一致を第三者が判定した
各発話は2人の評価者が確認しました。どの発話が原因か判断が分かれた場合は第三者が判定し、原因として囲んだ文字列の範囲が異なる場合にも統合ルールを設けています。
第三者でも判断を確定できなかった34件は除外されました。原因の有無だけでなく、どこまでを原因として囲むかにも品質管理が必要です。
原因が会話中に書かれていない場合もある
人は、過去の経験や会話に出ていない出来事によって感情を持つことがあります。RECCONでは、明示された原因のほか、会話から推測される潜在的な原因も扱っています。
ただし、推測を正解として扱うほど評価者の常識や解釈が入りやすくなります。明示された原因と推定原因を分けて管理する必要があります。
データ制作で参考になる点
- 感情ラベルと原因ラベルを別工程にする
- 対象発話だけでなく会話全体を評価者へ見せる
- 原因発話と原因文字列の両方を記録する
- 複数原因と潜在原因を許容する
- 不一致を第三者判定へ回す
EMOTION CAUSE ANNOTATION
感情と原因を対応させる対話データを制作します
感情分類、原因発話・原因スパンのアノテーション、複数評価者による一致確認まで、研究目的に合わせて設計します。
