レシートOCRの画像アノテーションツールを比較して、Label Studioを使うことにした

レシート画像からOCR用データセットを作るにあたり、画像アノテーションツールを比較しました。

候補にしたのは、Label Studio、CVAT、LabelImg、Roboflow Annotateの4つです。今回必要な作業に合うか、複数人での運用へ広げられるか、作成したデータをほかの環境でも使えるかを確認しました。

比較した結果、今回の試作にはLabel Studio Community Editionを使うことにしました。レシート上の範囲指定と文字入力を同じ画面で行えることが主な理由です。

この記事の内容と公開情報は2026年9月時点のものです。各ツールの機能、料金、ライセンス、動作要件は変更されることがあります。導入時にはリンク先の公式情報も確認してください。

今回ツールに求めたこと

レシートOCRでは、店舗名、日付、合計金額、商品明細などの範囲を指定し、その領域に書かれている文字も入力します。2行にまたがる商品名や値引き、税表示の扱いも決めなければなりません。今回は次の点を重視しました。

  • 画像上にバウンディングボックスを作れること
  • 囲んだ領域に文字情報を付けられること
  • ラベルや入力項目を案件に合わせて変更できること
  • 複数人での作業や検品へ広げられること
  • 商用案件で利用でき、非公開のまま運用できること
  • 別の環境で使える形式に出力できること

4つのツールを比較した

ツール 特徴 今回の用途との相性 確認しておきたい点
Label Studio 画像以外に音声、テキスト、動画なども扱える。作業画面を設定できる 範囲指定と文字入力を組み合わせやすい 本格的な複数人運用ではサーバー構成や権限設計が必要
CVAT 画像・動画・3Dのアノテーションに強く、多数の出力形式とレビュー機能を持つ 物体検出やセグメンテーションでは有力。文字転記を中心にした画面は別途検討が必要 セルフホスト版の導入はDockerを含む構成になる
LabelImg バウンディングボックス作成に絞られたデスクトップツール 物体の矩形を付けるだけなら分かりやすいが、今回必要な文字入力や工程管理には不足 開発終了済みのため、新規案件の標準ツールにはしにくい
Roboflow Annotate ブラウザ上でアノテーションからデータ管理、学習までつなげやすい 画像認識案件を素早く試す用途では使いやすい 無料のPublicプランではプロジェクトが公開され、非公開データは有料プラン等の確認が必要

料金・商用利用・データの持ち出しやすさ

ツール 料金と商用利用 主な出力形式 別環境での再利用
Label Studio Community Editionは無料。Apache License 2.0で、ライセンス条件を守れば商用案件でも利用できる。有料版もある JSON、JSON_MIN、CSV、TSV、COCO、YOLO、Pascal VOCなど 一般的な形式へ出力できる。ただし、範囲と転記文字を組み合わせた独自仕様は変換設計が必要
CVAT Community版は無料。中核部分はMIT Licenseで、ライセンス条件を守れば商用利用できる。クラウド版・企業版は別料金 CVAT XML、COCO、YOLO、Pascal VOC、KITTIなど20種類以上 画像認識向けの標準形式が多く、他環境へ渡しやすい
LabelImg 無料。MIT Licenseで、ライセンス条件を守れば商用利用できる Pascal VOC、YOLO、CreateML 矩形アノテーションは移しやすいが、出力の種類と付加情報は限られる
Roboflow Annotate Publicプランは無料だがデータが公開される。非公開データを扱う商用案件では有料プラン等の条件確認が必要 COCO、YOLO、Pascal VOCなど多数 一般的な形式でダウンロードできる。クラウドへ預ける条件と契約終了後の扱いも確認する

Label Studio、CVAT、LabelImgは、各ライセンスの条件を守れば商用案件にも利用できます。ただし、ツールのライセンスとは別に、元画像の利用許諾や個人情報、顧客との契約条件は確認が必要です。

Label Studioのデータは他の研究者にも渡せるか

Label Studioを選んでも、Label Studioを使っていない研究者が活用できないデータになってしまっては意味がありません。そこで出力形式も確認しました。公式の出力機能では、JSONのほか、COCO、YOLO、Pascal VOC、CSV、TSVなどへ書き出せます。

ただ、COCOやYOLOはバウンディングボックスの受け渡しには向いていても、「項目ラベルと転記文字」をそのまま保持できるとは限りません。今回のレシートOCRでは、次の情報をJSONまたはCSVにまとめて納品する形が使いやすそうです。

  • 画像IDと元のレシート画像
  • 項目ラベル、座標、転記文字
  • 除外・判読不能などの状態
  • 項目定義と転記ルール

Label Studioの座標は画像全体に対する割合で保存されますが、元画像の幅と高さからピクセル座標へ変換できます。元のJSONを保管し、研究者向けには用途に合わせたJSONやCSV、必要ならCOCOやYOLOも渡す形を想定しています。

Label Studio:案件に合わせて作業画面を組み立てやすい

Label Studioは、画像、音声、テキスト、動画、時系列データなどに対応するオープンソースのアノテーションツールです。公式のOCRテンプレートでは、画像上の範囲を指定し、その領域に対応する文字を入力する構成が用意されています。

今回のレシートOCRでは、この「範囲」と「文字」を一つの作業として持てることが決め手になりました。ラベル構成を変更できるので、店舗名、日付、商品名、数量、単価、合計金額など、試作しながら項目を見直す余地もあります。

Community Editionは手元の環境へ導入できます。GitHubの公式リポジトリは2026年9月の確認時点で約2万8,300スターあり、更新も続いていました。

CVAT:画像・動画アノテーションを中心に考えるなら有力

CVATは、バウンディングボックス、ポリゴン、マスク、キーポイントなどを扱えるコンピュータビジョン向けのツールです。公式リポジトリでは、画像、動画、3D、タスク分割、担当者への割り当て、レビュー、API、20種類以上の入出力形式が案内されています。2026年9月の確認時点で約1万6,700スターでした。

物体検出やセグメンテーション、動画内の追跡には向いていそうです。今回は領域ごとの文字転記まで同じ画面で行いたいため、Label Studioを先に試します。

LabelImg:有名だが、これから標準にする理由は弱い

LabelImgは、画像上に矩形を作り、Pascal VOC、YOLO、CreateML形式で保存できるデスクトップツールです。公式リポジトリは約2万5,100スターありますが、2024年2月にアーカイブされ、積極的な開発は終了しています。矩形だけの作業には使えそうですが、文字入力や作業管理まで考えて今回は外しました。

Roboflow Annotate:クラウドで素早く始めやすい

Roboflow Annotateはブラウザで利用でき、公式マニュアルでは、バウンディングボックス、ポリゴン、マスク、AIによるLabel Assistなどが案内されています。データ整理から学習まで同じサービス内で進められるのは便利そうです。

ただし、料金案内を見ると、無料のPublicプランではプロジェクトが公開されます。預かった画像を扱うなら、有料プランを含めて保存場所と公開範囲を確認する必要があります。

Hugging Face上の公開データも確認した

ツールから出したデータが実際に公開・再利用されているかを見るため、Hugging Faceも調べました。どのツールで作られたか分からないデータも多かったため、ツール名、タグ、出力形式などから確認できた例をいくつか挙げます。

ツール Hugging Faceで確認できた例 公開規模 読み取れること
Label Studio label-studio-my-dogs 8件 Label Studioタグがあり、annotation_id、作業時間、annotatorなどの出力項目を確認できる
CVAT Duckietown Multiclass Semantic Segmentation Dataset 最大250画像分のアノテーション CVAT for Images形式のXMLを公開し、ポリゴンからマスクへ変換する利用例を確認できる
LabelImg toy-car-annotation-YOLO 作成者が約1,000画像を個別にアノテーションしたと記載 LabelImgで作成したYOLO形式データをHugging Faceへ公開する流れを確認できる
Roboflow Heavy Equipment Dataset 6,338画像 Roboflowから出力されたCOCO形式のデータセットがHugging Faceでも配布されている

いずれのツールにも公開データの例はありました。表の件数は利用総数ではなく、今回確認できた個別のデータセットです。

レシートOCRにはLabel Studioを使う

今回、Label Studioを選んだ理由は次の4点です。

  • バウンディングボックスと文字入力を同じ作業画面に置ける
  • 試作しながらラベルや入力項目を変更できる
  • Community Editionを自社管理の環境で動かせる
  • 画像以外のデータ制作にも応用できる

まずは小規模な実データで、作業時間、出力データ、判断のばらつきを確認します。ツールと並行して、ラベル定義、転記ルール、例外処理、検品方法も詰めていきます。


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アノケンでは、画像・音声・テキストなどのAI・機械学習用データについて、収集、アノテーション、人手評価、品質確認まで対応しています。仕様が固まっていない段階から、試作を通じて作業方法と判断基準を整理することも可能です。

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